ゴッドオブウォーをクリアしたのでレビューを書きます。(ネタバレなし)

 唐突ですが、PS4の新生GOWゴッドオブウォー)、今更ながらクリアしました。

 

 

先に言っておくが過去作のGOWは何作かやってはいるものの特段そこまで思い入れがあるわけではない。

 

 

 

ないのだが、

 

 

 

純粋に面白い。

 

 

 

 

洞窟や神殿にこだまする呻き声と勝鬨、宇宙や世界規模のスケール感の大きなストーリーと登場“神”物、そんな相手の神を震え上がらせる程の勇猛さで破壊と暴虐の限りを尽くすクレイトス。こういう世界観は好みではあるが、

 

 

 

胃もたれするでしょ、そら。

 

 

もちろんそういった自分の身体の何倍もある神々を打ち倒す楽しさは筆舌に尽くしがたいし、ハードでパワフルかつスタイリッシュ、バトルにおける“俺はこのモンスターをブチ殺してるぜ”感はなかなか他のゲームが比肩し得るものではないが、一方、ステージはどこも似たりよったりな洞窟と神殿が殆ど。そしてスパルタの亡霊の性なのか、プレイ中延々とモンスターを殺し続けるだけになる。

そしてストーリーは正直良く覚えてない…

とにかく殺さなきゃいけない奴を殺し続けるだけであるから、あまりシリーズ毎に代わり映えしないという感じがする。

 

しかしそういった過去作と比べ、大きく殻を破ったものが出来上がったと思う。

 

そんな驚きをくれたサンタモニカスタジオに感謝を、そしてまだやってないゲーマーにおすすめを、という意味でレビューを書いていきたい。

ネタバレは多分しない。

 

 

  • 戦闘・アクション

 

まず、多くのプレイヤーにとって最も重要であろうアクション面であるが、やはり長年のノウハウがあるのか、新たなゲームデザインになっても、我々の期待を裏切らないものと言えよう。

序盤はなかなかに辛い。敵は固いし、クレイトスさんはすぐに死ぬし、技のバリエーションも少なく、新技である斧投げやパートナーである息子との連携アクションも慣れるまではボタン操作が忙しく相当しんどい。ハードで始めたが、3割くらい進めたところでノーマルに変えてしまった。

しかしながら、やはりゴッドオブウォー、クレイトスさんもカンを取り戻したのか、スキルを得てからはこれまでのような息をつかせぬ乱打を見せてくれる。

そして詳しくは後述するが、装備を整えステータスが上がっていくと倒せなかった敵があっさり倒せたりするようになる。プレイヤースキルの上昇と相まって、なかなかの達成感を感じさせてくれる。

後半になると必殺技を出しまくれるようになるのだが、どの技もダイナミックで見ごたえがあるし、さすがアクションの金字塔であるタイトルなだけある。

 

  • ゲームシステム・デザイン

 

次にゲームシステムであるが、新生3部作一発目にしてはかなり仕上がっていると思う。

ネタバレになるので詳しいことは言えないが、フィールドは半オープンワールド的な中フィールドの中に小フィールドがいくつか在るという感になっている。

これまでの作品とは違い探索する楽しさがある一方、中盤までワープポイントが自由に使えず、また移動にもスピード感がなく、加えて行けるところがあまりにも限られていて、世界を旅している感じがあまりなかったのは残念なポイント。中途半端にやるならオープンワールドにしてほしい。

個人的には謎解きだけではなく、アンチャーテッドのようなスピード感あるステージギミックがあればより探索が楽しめる気がする。

また、探索をし、装備を整えていくことによって格段に強くなっていくというRPG的要素が加わった。装備によって防御力や筋力といったステータスが上昇し、レベルが上がっていくというシステムになっている(と思う)。

レベルをしっかりあげないとかなり苦戦をするが、レベルを上げればちゃんと倒せるようになっていて、なかなかいいゲームバランスである一方、レベルのシステムが分かりにくい(というか未だに同レベルが上がるのかよくわかってない)ので、経験値で能力値を直接あげるスタイル(龍が如くのようなシステム)でいいのではないかなとも思った。

 

  • 世界観・ストーリー

 

最後にストーリーやキャラクターであるが、ここが想像以上にグッときた。

今回のGOWは息子と親父のふたり旅という話を聞いたとき、クレイトスが他人と旅しているのは想像できないし、ましてや息子ともなると全く意味が分からなかったのだが、息子はどうしてかチャーミングでとても闊達な等身大の子供という感じで、旅の最中もずっと喋っているのが新鮮でこれまでは無味乾燥なきらいもあったステージ攻略をとても明るいものにしてくれている。また息子以外のキャラクターも少ないながら誰しも魅力ある人物であった。

そして、ストーリーが進むにつれ、旅や出会ったキャラクターたちを通して成長していく息子の様子は微笑ましいし、その息子の成長と呼応するように、クレイトスまでも人間として、神として、男として、そして父として成長していく様はなんだか胸が熱くなるし、次回作以降どのような成長を遂げるのかが非常に気になる。

そうした子供が次第に大人へと、戦士へと男へと、また二人の関係性が、親子としてより強い絆へ変わっていくというのが細やかな演出によって多分に感じ取れた。何気ない会話や仕草によく現れている。クリエイターのこだわりには脱帽だ。

まさかGOWでこんな気持ちになるとは思わなかったが、シンプルで明快なストーリーだからこそ、強いメッセージを込めることができたといえよう。

 裏エンド?的なやつは少しお粗末だったかなと思ったけど、まあ良くも悪くも大したことはないので良しとしよう。

何よりも殺戮と暴虐ではなく家族や人間を描いているという点で大きな進化だと思う。

 

  • おわりに

 

想像以上に長文になってしまったが、それだけ言いたくなるくらいのゲームだったと思う。

レベルシステムやフィールドの移動やステージギミック、多すぎる収集物、等々もっとブラッシュアップしていけばウィッチャーやスカイリムにも匹敵するようなゲームになると思う一方、何でもオープンワールドで、RPGでいいのかなとも思ってしまった。

しかし、サンタモニカスタジオが出した回答はこのゲームだった。であれば徹底的にアップデートしていけばいいと思う。

凶暴な神でもよき父になったように、いつまでも同じコンセプトのゲームを作り続けることはない。

何よりもクレイトスが広大な世界を暴れまわる様子を見てみたいし。

次回作も頑張って下さい。

まごうことなき良作だし、そのわりに何故か安いしのでアクション好きのゲーマーは今すぐに買え。

 

くぅ疲