今日聞いたアルバム:Bobby Humphrey『Flute-In/Ain't no sunshine』

長年、音楽をdigる方法は3択に絞られていた。

まず、レコ屋に行きヴァイナルを“dig”ること。

大量に並べられたヴァイナルの層を手で掻き分け、己の嗅覚(ジャケ買いとも言う)で当たりを掘り当てる。

“dig”という単語をレコード探しに当てはめたやつはめちゃめちゃ喩えツッコミや大喜利に天賦の才があるはずわ。

 

ただ、やればわかるがあれはかなり体力を使う。

良さげなやつも割に高かったりする。

そもそも、最近はそんなことをこれ見よがしにすることに鼻白んでしまう。

『レコ屋(笑)にいきヴァイナル(笑)の層を…』とか茶化そうかと思ったほどだ。

 

第二に友達の話を聞く。

ある程度、音楽に関心がある友人――ほっときゃ一晩中いい音楽について喚き倒してしまうような先輩――とつるむ。

酒でも入れば、吐き散らかすかのように様々な音楽を教えてくれる。

 

ただ、やはり問題点がある。

趣味が合わない場合だ。

大体この手の先輩は博覧強記で、野猿の如くジャンルレスで食らい付くしている。

テンションと雰囲気が合えば無限にdigれるが、風向きが変われば食指の伸びない話題になる。

それはそれで面白いし否定するつもりは毛頭ないが。

 

翌日になり、祭りの後の心地よい喪失感に揺蕩い、あるいは文字通り胸の奥から込み上げる熱情に絆されながら、

梅水晶って初めて食ったけどクソうまいな!」

などと、間抜けな感想を抱くのみになってしまう。

 

最後は地道に調べること。

『レコ屋(笑)でヴァイナル(笑)』がシールド工法(知らん人は知れ)で掘り尽くすのであれば、こちらは考古学者のように筋道を立てて掘り進めるようなものだ。

気に入ったバンドのベーシストのバンド、その前身バンドのプロデューサーが手掛けたアーティスト、を親の仇ほど貶した奴のバンド、のアルバムジャケットを担当したやつが手掛けた他のアルバム…等々。

キモオタ陰キャは何かをカテゴライズしたり、瓶にレッテルを貼ってコレクションしたりすることが遺伝子レベルで決定されている。

よって俺もこれが好みだ。

 

 

など気取りに気取りきった文章を書くつもりは無かった。

流石にキモすぎて消そうかと思ったが、スラスラかけてしまったのが運の尽きで、もう原稿用紙2枚を超えてしまった。

 

結局言いたかったのはYou TubeSpotify、その他おすすめ音楽検索サービスがめちゃくちゃ凄い、怖いという話だ。

現在、俺はAIの言いなりに音楽を聞いている。

もうこれはdigではない気もする。

しかし、結局の所、我々素人はそんな形式的なことにこだわる必要はない。

好みの音楽が見つけられればいいのだ。

 

『レコ屋(笑)でヴァイナル(笑)、クラブでchill(笑)、ナンバガ再結成でエモエモ(笑)』なんてことは石左にでも任せておけばいい。

 

そして俺がBASEMENT TIMESで記事を書き、食い扶持を見つけられればゲームクリア!という算段だ。

レコードノイズ混じりのLow-Fi Hip hopでバズれば104%クリア!クランキーコングも大喜び。

 

脱線しすぎて戻れない。

 

そうそうBobby Humphreyの話だ。

Bill Withersの超有名曲をインストジャズファンクアレンジ。

グルーヴィなパーカスに抑圧的なギター、そこにどこか内省的なエレピが響く。

呪術的な高揚感のあるバッキングに、不釣り合いなほど情熱的で力強いフルートが朴訥な与作風メロディを奏でる。

心地よさに目を閉じかけたときに終わってしまう曲の短さもどこか愛おしい。

その他もCarole KingやBen E.Kingといった面々の有名曲のカバーがあり、どれも出色の出来。

誰しもの愛聴盤になりうるのではないだろうか。

 

こんないいアーティストをおすすめするなんて、Spotify凄い!You Tube凄い!!!!

みんなも入れよな。

じゃがたらが最近入ったぞ。